帰ってきた☆時計仕掛けのロビンちゃん

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zoom RSS 永遠の絆

<<   作成日時 : 2014/09/01 09:23   >>

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現在のマンションに転居してきたのは平成8年の晩秋

転居してすぐ、我が家のリビングの壁に一機のエアコンが据え付けられた

以来18年間、大雪の日も猛暑の日も、ほぼ休みなく働き続けた



赤ん坊のさすけがやってきた台風の日も

雪と泥に汚れたぐーっ☆がやってきた日も

家族みんなで、のんびりと過ごしたお正月も

家族みんなで、ダラダラ昼寝をした夏の日も

元・相方が愛想を尽かして出て行った日も

ワタシがあの方に見初められた日も

ワタシがあの方に放逐された日も

急にさすけの元気がなくなって、それからどんどん痩せ細っていった時も

さすけが逝ってしまった日も

さすけがいなくなり、さびしがり屋が露呈してしまったツンデレ娘と、二人でぼんやり過ごした薄暮れ時も

あの活動的だったツンデレ娘が、いつの間に気付かぬうちに老い衰え、身体の無理がきかなくなっていった頃も

そしてとうとう、さすけの後を追って、ぐーっ☆も逝ってしまった夏の日も

全てに虚脱して泣き暮らした昨夏も

ひなたとふたばをこの家に迎えた日も

ひなたとふたばと共に迎えた、初めてのクリスマスやお正月も

ひなたとふたばと共に迎えた、初めての雪の日も

ひなたとふたばと共に迎えた、初めての台風の日も

休むコトもなく我々を涼ませ、拗ねるコトもなく我々を暖め続けた

時にはさすけやぐーっ☆が、その上に這い上がって降りられなくなったりする珍事もあった

そういった、これまでのこの家の中に起こった悲喜劇を、愛憎を、盛衰を、ずっと窓上の壁にへばりつき見つめ続けてきたと言ってよい

それはあたかも空気の様に…

って、エアコンだからまぁ、それは当然か



ここ数年は、そういう彼のコトを擬人化して「大喰らいだが、よく働くお父さん」と呼称していた

その、「大喰らいだが、よく働くお父さん」も、一昨年あたりからは、さすがに経年劣化に伴う性能低下や機能不全が避けられなくなってきた

熱交換部が結露したり氷結して、直下のPCに水を吐いてしまったり、メンテを怠って筐体内の汚れを飛散させるコトも何度かあったが、ご愛嬌ご愛嬌

彼のこれまでの働きからすれば、まぁまぁ、その程度のコトは許容の範囲だ

古ぼけて大喰らいになったからというそれだけの理由で、これまで多年にわたって頑張り続けてくれた働き者のお父さんと離婚し、食費のかからないホワイトカラーのイケメンとの再婚を企てたりするというのは、果たしてヒトとして如何なモノであらうか!?

などと、自問して己を嗤ったりもしたが、さすがに今夏の猛暑には太刀打ち難しくなった

とうとう音を上げるようになってしまい、先週末、ついにエアコンを新調することになった



工事当日は快晴

朝から蒸し暑く、お父さんは業者がやってくるギリギリまで、我々の身体を心地よく冷やしてくれた

朝8時、施工業者来着

機材・工具を搬入し、おおよその段取りをつけると、業者はベランダに出て、室外機に接続された配管の締め付けを躊躇うことなく緩め始めた

緩んで気密が保てなくなった配管の結節部から、気化した冷媒が漏れ出す

お父さんの体内に充たされていた生命の源が、シューシューと音を立てて漏れ出し、次々と空へ還っていく

しばらくすると音は微かになり、やがて聞こえなくなって、全てを空に還し尽くしたお父さんは、その機能を完全に停止した

つい先ほどまで、我々家族を快適に冷やしてくれていたお父さんは、遂にその呼吸を止めた

お父さんは逝ったのだ

業者は室内に戻る

室外機との配管を切断され、手際よく固定金具がはずされたお父さんは、永らく寄り添い続けた壁と別たれ、その身を床に横たえた

業者は職務に忙しく、お父さんの遺骸を玄関から外へ搬出するや、いそいそと新型の設置に取り掛かりはじめた

お父さんの亡骸は玄関脇に無造作に置き去られ、業者の作業が終わるまでの間、ソコから見える狭い夏空を、見上げるように横たわっていた

横たわった亡骸の、その切断された配管口から、つい先ほどまで活き活きと働いていた証の排水が数滴、零れ落ちてタイルを濡らし、それがワタシには無念の涙のようにも思われた

お父さんの亡骸を、何度か、撫でさすってみた

芝居がかっているのは充分に承知した上で、それでも「永い間、本当にお疲れさまでした」と、話しかけてみた

少しおいて、「ウチら家族をずっと見守ってくれて、本当にありがとうね」と、心底から呟いた

「お父さんほど働いたモンは、冷蔵庫を除いてこの家にはいないよ」と、付け加えた

そして、「この18年間、ワタシはお父さんほどに、家族に対して何事かを為しえていただろうか」と、自らに問うた

数時間後、施工を終えた業者は、お父さんの遺骸を工事の廃材と一緒にトラックに積み込んで行ってしまった

お父さんは遂に、ワタシの手の届かない彼の岸へと渡ってしまった

今はきっと廃棄物の山の中に埋もれ、風雨に晒され、夜露に濡れながら、静かに朽ちるのを待っているのだろう

お父さんが零した涙の跡だけが、一週間経った今日もまだ、玄関先のタイルに遺されている


<なぎら健壱:永遠の絆>



お父さんに代わって新たにやってきた少食のホワイトカラーは、ダイキンのRシリーズというヤツで、今季のフラッグシップモデルだ

18畳タイプなら、ソコソコ値頃な価格で買えたのだケド、リビングと和室と玄関までの廊下を開け放ってチビっ子どもの遊び場にしているので、20畳タイプしか選択のしようがない

設置工賃など諸々いれて、ヨドバシでは35万ほどの出費だったが、まぁ仕方ない

10年使って年あたり\35,000也

ひと月あたりおよそ2900円だから、一日あたりで100円の投資

10年間、毎日100円払ったとして、それで日々快適なエアコンディションを確保できるのならば、まぁ良しとするべきか

20年使えれば年あたり\17,500也

ひと月あたりおよそ1500円となって、一日あたり50円の投資とな

はてさてこの先、ワタシが20年も生き永らえるようなコトがあるのやらw

20年生き永らえたとして、その時の自分は一体、どんな在りようでこのヨノナカというヤツの中に存在しているのか

いま、当たり前のようにワタシの傍にいるチビっ子たちも、きっとその時にはいないのだろう

その頃でも相変わらず、未練たらたらで誰かと、薄っすらとでも関わりを持っていたりするのか

その頃でも相変わらず、未練たらたらであの方を、想いつづけていたりするのか

茫洋としてまったく見当もつかない



これから先の、ワタシに残された幾許かの月日

その月日を、さすけとぐーっ☆と、去って逝ったお父さんとに恥じない、濃密な時間にしなければならない

新顔のイケメンと共に、このふたりのチビっ子どもを優しく抱き、包み、慈しみ、そして健やかに育てなければならない

コドモにとって、心地よい「環境」になりきらねばならない

少なくともこのイケメンよりは、家族に対して意義深く働きを為す者であらねばならない

せめてエアコンよりは、マシな働きを為す生物としてあらねばならない

今はただ、そのコトだけを肝に銘じている



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